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   将棋のデモンストレーション

 前回の記述と一部ダブルが アメリカ本土を行く馬次郎の動静を報ずる資料が一つだけ見つかった。向こうのチェスクラブの面々を前に将棋を指したという愉快な情報である。
 ロンドンで発行された『チェス・ワールド』という雑誌に転載された地元新聞「フィラデルフィア・イブニング・ブリティン」の記事を要約さしていただく。
 フィラデルフィアはアメリカでも有数のチェスの本場を自任する土地柄だったそうである。ここに到着した使節団は地元チェスクラブ(PCC)の招待を受ける。
 日本の将棋についてはすでにペリー艦隊の報告書『日本遠征記』で「Sho-Ho-Ye」として詳しく紹介されており、興味を持ったPCCのメンバーは、初めて来る本場日本人による手ほどきを聞こうと、駒も用意して待ち構えていたようである。
 日本側はあまり乗り気ではなかったようだが、熱心な誘いに従者クラスの8人が応じた。
 名前の分かっているのは馬次郎と加賀藩士・佐野貞輔鼎の2人。
 対局は2回行われ、最初は馬次郎と氏名不詳の者。 盤はなかったので紙に線を引いて作った。ブリティン紙は次のように書いている。
 「対局者の1人はYamadaWoomagenという美男子で、初手を決めるため1枚の歩(a Ho-hei)をボード中央に放ったが、先手は先の向いた側という決まりだった。」
 「対局が進んでいくと一方が早々と優勢になったことが周囲の表情から分かった。負けた日本人が「He beat me」(彼が私を打ち負かした)とだけ言って席を立つと日本人たちは爆笑に包まれた。それはまったくすがすがしいものだった。棋譜をとろうとしたが早指しだったので追いつけなかった。」
 「この対局は最後まで指されなかったためもう1戦を同意してもらった。最初の対局の敗者が席を仲間の1人、Sano Kanayeに譲ったが、彼はそのより熟達した英語でこの会合の通訳を務めてくれた。15分後には王手(Ote)の宣言があった。」

   「いけ面」だった馬次郎

 馬次郎が勝ったか負けたかはっきりしないが、記事によって馬次郎が美男子であったことを知る。原文は「a fine looking man」とある。
 ちなみに大阪・龍馬堂のホームページで馬次郎の顔写真を見ることができるが、そう言われるとなるほど、いいマスクだ。いけ面(若い男性の顔かたちがすぐれていること。また、そのような男性=『広辞苑』6版)とはこんな顔をいうのであろう。
 使節団が持ち帰った本の中にフィラデルフィアの写真師ジャーモンが編んだ写真帳があり、「Yamada Magero(Soldier)」と説明が入った肖像写真があるそうだが、私は見る機会がない。また高知市の自由民権記念館には平左衛門関係の写真が多数寄託されているが、その中にも馬次郎の姿を確かめることはできなかった。
 このクラブはお礼としてチェスセットと『Handbook』をプレゼントした。記事は「これに対し日本側も帰国したら将棋の何点かを送りましょうと約束してくれた。しかしながら東洋人は忘れっぽいのである」と結んである。
 この将棋対局について徴する日本側の資料は得られないが、別の地元紙インクワイアーは、ホテルで暇つぶしに将棋を楽しむ様子を紹介し、このゲームはどうも下級武士の娯楽のようだと書いている。(藩政時代、碁や将棋は士分の者は自由に楽しむことができたようだが、百姓はそうもいかなかったようである)。

   初めて接したダンス

 アメリカ最後の地ニューヨークには約2週間の滞在、宿舎はメトロポリタン・ホテル。ブロードウェイを行く行列を見た詩人ウォルト・ホイットマンは「謙譲にして、色浅黒く、腰に両刀を手挟んだ使節たち」という歓迎の詩を詠んでいる(長沼重隆訳)。
 サンフランシスコからアメリカへ入って約3ヵ月、各地で空前ともいえる歓迎を受け、よくパーティーに招待された。初めて見るダンス。
 もともと日本には公衆の面前で男女が相擁してステップを踏むという文化はなかったし、盆踊りさえ禁止された時代もあった。ありがた迷惑だった様子が日記のたぐいから窺われる。
 国務長官主催の舞踏会に出た村垣副使の感想をしるして置こう。いたたまれなかったのか中座している。
 「男女組合て足をそばだて調子につれてめぐること、こま鼠の廻るがごとく、何の風情手品もなく、幾組もまはり、女のすそには風をふくみ、いよいよひろがりて、めぐるさまさまいとおかし(中略)外国の使節を宰相の招請せしには不礼ととがむれば限りなし」(『遣外使節日記纂輯第一』=昭和49年復刻、日本史籍協会▽永井良和著『社交ダンスと日本人』=平成3年、晶文社)   (つづく)

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 NHK大河ドラマ「天地人」が22日最終回。直江兼続のことは前に書いたことがあります。月別アーカイブ2008年12月(27日)を読んでください。
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