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   「陸地ヲ走ル船」に乗る

 アメリカ大陸に取り着いたばかりである。批准書交換の行われるワシントンはまだ遠い。使節団のコースをたどろう。
 使節団の人数は1人減って76人となった。賄方の1人が酒に酔ってイギリス人と大喧嘩をしたため、1カ月後に帰國する咸臨丸で送り返されることになったためである。
 安政7年3月17日、一行を乗せたポウハタン号はサンフランシスコを出発して太平洋を南下する。北米大陸横断鉄道はまだ全通していなかった。
 閏3月5日(年号は万延と改まっている)パナマ港に着いた。パナマ運河はまだ開通していない。
 一行はポウハタン号と別れて、パナマ鉄道会社が特別に用意した8両編成の専用列車に乗り込む。
 客車は長さが約13㍍の箱型で28人が座れた。
 後部車両ほど上等の車で、馬次郎ら従者クラスは第5車両。
 レールは中央が凹んだ構造で、この溝が車輪をくわえ込んで左右にずれないようになっていた。
 パナマ地峡を横断する約2時間半の汽車の旅が始まる。
 初めて見る汽車・列車・鉄道である。一行はその速さにびつくりした。
 馬次郎も強烈な印象を受けたようだ。帰国後、文久2年(1862)閏8月23日、容堂公に謁見、旅の見聞を報告しているが、側用役の寺村左膳道成は日記に
 「今日当人より承るニ、外国ニは陸地ヲ走ル船アリ、蒸気船同様ニ而、鉄道ヲシキ、其上ヲ走るト云、蒸気船よりも早シト云、色々珍ら敷咄しも有之候事」
 と書いている。
 馬次郎自身が書いた「色々珍ら敷咄し」がどこかに埋もれていないものか。使節団では日記をつけるようにと指示が出ていたということだから書いていないはずはない。
 (青山文庫所蔵資料集「寺村左膳道成日記」(一)50㌻=横田達雄編、昭和53年、県立青山文庫後援会発行▽山内家資料 幕末維新第三編上485㌻)

    横浜→ワシントン90日あまり

 カリブ海の港アスピンウォールにはロアノウク号が待ちかねていた。
 閏3月20日ニューヨーク沖投錨、ワシントンへ直接来るよう政府から指示があったため引き返し、ワシントンの川筋の入口で使節団一行は上陸用の川蒸気船フィラデルフィア号に乗り移り、アナコスティア川に面した海軍造船所から上陸した。閏3月25日、正午になるころであった。
 ここにもおびただしい数のアメリカ市民が押しかけ、警官が交通整理に大わらわであったという。
 岸壁には30数台の4頭立て馬車が待機しており、一行を8㌔ほど離れたウィラーズ・ホテルに運んだ。
 横浜を出てから90日余り、サンフランシスコからだと38日かかった計算になる。
 1840年代、ゴールドラッシュにわくアメリカ大陸では東西の両岸を結ぶには3つのルートがあったそうだ。
 一番安いのは危険なうえ時間がかかるロッキー山脈越えの幌馬車隊。
 高いが一番早いのは船・陸・船とつなぐパナマ経由。ただし鉄道が通じたのは1855年である。
 時間はかかるが比較的安全なのが船。中浜万次郎は約半年かけて南アメリカ南端マゼラン海峡廻りで東から西へ航海している。(中濱博著『中濱万次郎』=平成17年、冨山房インターナショナル)。
 明治4年(1871)、高知からも田中光顕、佐々木高行、今村和郎、中江兆民が参加した岩倉使節団は、全通したばかりの大陸横断鉄道を軋らしてサンフランシスコからワシントンに至っているが、正味12日で到着している(実際は途中で雪のため足止め17日間があるので29日)。馬次郎から11年後のことである。
                          (つづく)

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 6月 7日(日)小美濃清明 江戸留学と国際情勢(品川)(了)
 7月29日(水)三浦夏樹  土佐勤王党と脱藩事情(了)
 8月 1日(土)佐藤寿良  龍馬と海舟、神戸海軍操練所(了) 
 9月 5日(土)渋谷雅之  龍馬、長崎、船(了)
10月 3日(土)豊田満広  薩長連合、海援隊成立、岩崎との関係、いろは丸(了)
11月 7日(土)広谷喜十郎 福井藩と龍馬との関係・大政奉還への道
12月 5日(土)松岡司    龍馬・中岡の死とその背景
 1月17日(日)谷是     龍馬死後の海援隊とその思想の継承
 2月 6日(土)高橋正    文学に描かれた龍馬像

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