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 今村和郎の話も11回を重ねました。一区切りついたここらで一休みして、話題を変えてみます。
 6月9日の高知新聞に、高知県高岡郡越知町の柴尾地区で「虫送り」行事か行われたことが載っていました。大わらじを担いだ男衆を先頭に鐘や太鼓をたたきながら農道を進む老若男女およそ50人の写真も掲載されていました。害虫を追い払い五穀豊穣を願うこの行事も、農薬の普及で廃れてしまったと思っていましたが、この地区では連綿として受け継がれていたのですねえ。
 越知町だけでなく、インターネットを検索してみますと、土佐郡土佐町宮古野地区でも続いているようで、写真付きで見ることができます。
 「虫送り」という伝統行事、キーワードは斎藤別当実盛と大わらじでしょう。
 まず斎藤別当実盛。
 平安時代の末期、平氏と源氏が覇を争った時代に翻弄されて討ち死にした武将です。武蔵の国をめぐる源氏の内輪争いの時には後の木曽義仲(駒王丸)を助けたことがあります。その後、平氏の配下となり、その義仲の軍と加賀の国に戦い敗れます。寿永2年(1183年)篠原の戦いです。
 味方総崩れの中、最後尾でただ一騎防戦しますが、義仲軍の手塚太郎に討ち取られて73歳の生涯を終わっています。
 「平家物語」や「源平盛衰記」は当日の実盛のいでたちや、老兵とあなどられないよう白髪を黒く染めていたこと、最後まで名乗らなかったことなどを書いています。「もえぎおどしの鎧着て、鍬形打ったる甲の緒をしめ、……葦毛なる馬に黄覆輪の鞍おいて」云々と。
 実盛が討たれた際、乗っていた馬(あるいは本人)が稲の切り株につまずいたところを討ち取られたとも言われ、実盛が復讐のため稲を食い荒らす害虫になったという言い伝えがあるそうです。この戦いのあと何年か不作が続いたといわれ、そんなところから言われだしたのかも知れません。
 この虫送り、義仲が幼いころの恩人でもある実盛の供養と豊作祈願のため始め、それが全国に広まったと言われます。 
 次に大わらじですが、鐘や太鼓は大きな音で害虫を追い払う効果があろうかと思いますが、草鞋にはどんないわれがあるのでしょうか。
 実盛は義仲軍の一人の郎党を斬り捨てた隙に、手塚太郎に鎧の裾をまくられて太刀を突き立てられ、弱ったところを組み伏せられて首を落とされたと言われます。この時の怨念が虫になり、履いていた草鞋から這い出して稲に害を及ぼしたということで、実盛供養のため草鞋が作られるようになったそうです。
 土佐史談55号(昭和11年)に高知県女子師範学校郷土室の労作「土佐民間年中行事に関する調査」が52ページにわたって載っています。いまになってみますと貴重な民俗資料。昭和初期、この「虫送り」行事、どんな風に行われていたのでしょう。その中から拾ってみましょう。
 高知市近郷で採集した事例=6月20日にイナゴ送りと称し地区民が集まって鐘太鼓をたたき「斎藤別当実盛、稲の虫や、ひしゃげた」と唱えながら田を廻る(夜はたいまつをたく)。また実盛の足に虫が湧き足を切り捨てたところ、その虫が稲についたと称し、長さ1間余りの草鞋を作り、川へ流したが、この習慣は近年廃れた」と書かれています。
 吾川郡池川町=6月20日を実盛様の縁日と称し虫供養をする。「奉供養斎藤別当実盛、悪虫退散、五穀成就」と書いた撥(ばち)で太鼓と鐘をたたきながら村中を巡回し、あと撥を川へ投げ込む。その時一同は「おお」と叫ぶ。
 吾川郡富岡村(現仁淀川町)=旗へ虫送り、麦の虫、黍の虫、稲の虫などと書き、太鼓と鐘をたたきながら「斎藤別当実盛公、麦の虫もついて来い、黍の虫もついて来い、稲の虫もついて来い、便所の虫もついて行け」と唱えながら廻り、川へ行って流す。
 唱える言葉は「稲の虫や送った、大豆の虫や、ひしゃいだ」(安芸郡奈半利町)、「稲の虫、追いまくろ」(安芸市赤野)、「稲の虫を送り飛ばした」(高岡郡佐川町黒岩)といろいろですが、斎藤別当実盛は欠かせません。
 土佐市戸波では、坊さんを招いて虫供養をしたあと祈念をこめたビワの葉を田に立て、「斎藤別当実盛、稲の虫や、西へ行け」と虫送りする例が載っていますが、西の地区が「東へ行け」とやったらどうなるでしょう。
 このビワの葉ですが、「稲虫退散」とか「南無阿弥陀仏」と書いて祈祷してもらい、田の畦に立てる習慣があちこちで報告されています。全国的にはどうでしょう。
 次回からまた「今村WARAU伝」に戻ります。

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