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   第一章 板垣退助洋行の添乗員

   ヨーロッパヘ向けて出発

 こうして自由党総理・板垣退助、自由党諮問・後藤象二郎、随員・栗原亮一、通訳・今村和郎の4人はそれぞれの思惑を胸に、明治15年(1882年)11月11日、横浜を出港して洋行の途に着いた。
 ここに至るまでには『自由党史』が「総理外遊の内訌」と題する一章を設けてその経緯をしるした大騒動があったし、その過程で今村も対立政党の新聞から批判を浴びせられた。やっとここまで来たという思いだったろう。
 この旅で板垣はクレマンソー、ビクトル・ユーゴ、アコラス、スペンサーら政治家、碩学の士と会談した。
 ユーゴはすでに板垣の岐阜遭難について知っており、「君は東洋において早くから自由民権論を唱えられ、先達として多くの艱難をなめてこられた。先日は刺客に遭われたことも聞き及んでおります。傷の方はもう十分治っておられますか」と、いたわりの言葉で遠来の賓客を迎え、「進め、退くことなかれ」という言葉を贈ったという。もちろん今村の通訳である。(坂崎紫瀾が明治17年7月22日の自由新聞に書いた『彪吾先生略伝』から)

   今村の同伴帰国は疑問

 このような日程をこなして一行は5月13日マルセイユから仏国郵船ペイオー号で帰国の途についた。6月15日香港着、同国郵船タイナス号に乗り換えて明治16年6月22日横浜に帰り着いた。
  『自由党史』は随行者2人の動静についてわざわざ「其行を同ふすること出遊の時の如し」と書いて4人同時の帰国を強調しているが、一行の横浜帰着を取材した朝野新聞は23日付の紙面にこう書いている。

  「予て記載せし如く自由党総理板垣退助君、同党顧問後藤象二郎君には同行の栗原亮一氏(今村和郎氏は暫時香港へ滞留されたる由)と共に昨曉横浜港へ入港されたれば同党の諸氏は横浜へ迎ひの為め出張せられしが、後藤君は南仲通の自由舎へ赴かれ、板垣君は迎ひの人々と共に後二時臨時汽車にて新橋へ着せられしが茲にも馬場氏を始め諸氏迎ひの為め出張せられ、其恙なきを視し、直に芝区兼房町五番地の川松楼に投宿せられたり」

 だれから取材したのか知らないが、先に紹介した井上馨の手紙と合わせ読むと、「暫時香港へ滞留」さえも怪しい。
 すでにマルセイユから一行と別れていたのではないか。
 外務省外交史料館所蔵の『航海人明細簿(鑑)』を基に編集された『幕末明治海外渡航者総覧』(手塚晃・国立教育会館編、平成4年3月柏書房発行)第1巻132ページによると、渡航時期1883年(1882年の誤りか)に見合う帰国時期は「1884年2月19日」(明治17年2月19日)となっている。板垣らが帰国して8カ月近く後である。
 この帰国日にからんで理解に苦しむ辞令文書がある。今村が晩年教鞭をとっていた私立明治法律学校の雑誌『法政誌叢』(明治24年5月15日発行の第127号)が彼の死に当たって掲載した履歴の中に次のくだりがある。

  「十六年四月二十五日 御用掛被仰付但取扱準五等官月俸二百円下賜。同日獨國滞在被仰付。
 十七年二月十九日帰朝。三月五日任外務権大書記官」

 4月25日といえば、まだヨーロッパに居た。もはや官の身分を隠す必要の無い時期に至ったのでこんな辞令が出たのか。疑えばきりがない。
 それにしても板垣外遊は、資金疑惑といい、通訳人事といい、政府によって仕組まれた政治的陰謀の臭いふんぷんである。

 次回は今村和郎の出自から始める。土佐・高岡の富商今村一族「政屋」の後裔であった。またどうやってフランス語を学んだかも探る。(つづく)

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